← 一覧に戻る
Mamekoko Yomimono

「マインドフルネス」は、過去と未来から「今」に脳を引き戻す技術

2026-06-04
スポンサーリンク

何となく心が重い。そんなとき、私たちはつい「自分の意志の弱さ」のせいにしてしまいがちです。 けれど、私たちの状態を左右するのは意志だけではありません。そんな学術的な知見を、日常のヒントとして少しだけ取り入れてみませんか。

研究が教えてくれる、心の守り方

「マインドフルネス」は、過去と未来から「今」に脳を引き戻す技術。これは単なるアドバイスではなく、心理学の研究を通して示されている、一つのアプローチです。

この技術と深く関連するのが「デフォルトモードネットワーク(Default Mode Network: DMN)」という脳の概念です。DMNとは、特定の外部課題に取り組んでいない安静時や、内省(自己に関する思考など)を行っているときに主に活動が高まる脳のネットワークを指します。2000年代前半にfMRI(機能的MRI)を用いた安静時の脳活動研究から注目され始めました(出典:進化論からみるデフォルトモードネットワーク/MELON)。

マインドフルネス瞑想などの実践によって、DMNの活動パターンが変化することが知られています。特に、雑念や自己関連の思考に陥りやすいDMNの過活動を抑制し、現在の瞬間に意識を向けることで、ストレスや不安の軽減に寄与するとされています。

すべてを一度に変えることは難しくても、「環境を少しだけ変える」「行動の順番を入れ替える」といったささやかなことが、心の回復を助けてくれる場合があります。

考えすぎる性格だと思っていた。でも脳の仕組みだったのかもしれない

私は昔から考えすぎる性格だと思っていた。 一度気になることがあると、何度も思い出してしまう。 終わったことのはずなのに、頭の中では終わらない。 どうしてこんなに引きずってしまうのだろうと思っていた。 そんな時に知ったのが、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳の仕組みだった。 人は何もしていない時ほど、過去や未来、人間関係について考えるらしい。 その話を知って、自分の中で色々なことが繋がった気がした。 例えば、パートナーと喧嘩をした時のこと。 私は勇気を出して、自分が傷ついたことや悲しかったことを伝えた。 本当はこうしてほしかったこと。 あの時どんな気持ちだったか。 何日も考えて、やっと言葉にした。 話し合いが終わった時は少し安心した。 これで伝わったかもしれないと思った。 でも後になって、その時話した内容をほとんど覚えていなかったことが分かった。 怒りよりも先に悲しさが込み上げた。 私にとっては何日も悩んで伝えたことだった。 それなのに、相手にとっては忘れてしまう程度のことだったのだろうか。 本当は伝わっていなかったのだろうか。 その出来事を何度も思い返した。 不思議なのは、その人との思い出が嫌なことばかりだったわけではないことだ。 一緒に出かけた日もある。 たくさん笑った日もある。 美味しいものを食べて、楽しい時間を過ごしたこともある。 振り返れば嬉しかった出来事はたくさんある。 それなのに夜になると、楽しかった思い出ではなく、「覚えていてほしかったことを忘れられていた」という悲しさばかりが浮かんでくる。 どうして人は、楽しかったことより悲しかったことの方を何度も思い出してしまうのだろう。 夜は特にそうだった。 昼間は仕事や家事をしている。 やることがある間は意外と平気だ。 でも夜になって静かになると、急に色々なことを考え始める。 「あの時の言い方は嫌だったな」 「本当に伝わっていたのかな」 「私は気にしすぎなんだろうか」 考えても答えの出ないことなのに、頭の中では何度も同じ会話が繰り返される。 返信待ちの時間も苦手だ。 メッセージを送る。 しばらくしてスマホを見る。 まだ返事は来ていない。 忙しいだけかもしれない。 そんなことは分かっている。 それでも時間が経つにつれて、 「何か変なことを言ったかな」 「嫌な気持ちにさせたかな」 と考え始める。 気づけば何度もスマホを確認している。 返事が来れば安心する。 でも来るまでは、頭のどこかで会話が止まったままになっている。 寝る前も似ている。 布団に入ると急に思い出す。 今日やろうと思っていたこと。 返信しようと思っていた連絡。 買おうと思っていたもの。 できたこともたくさんあったはずなのに、なぜか思い出すのはできなかったことばかりだ。 そして、 「なんで忘れたんだろう」 「ちゃんとやればよかった」 と一人反省会が始まる。 眠ろうとしているのに、頭の中だけ忙しい。 考えてみれば、私が繰り返し悩んでいたものには共通点があった。 伝わったか分からない気持ち。 返事を待っている会話。 やり残した用事。 完全には解決していない人間関係。 どれも「終わっていないこと」だった。 DMNについて知った時、少しだけ気持ちが軽くなった。 私はずっと、自分が弱いから考え込むのだと思っていた。 気にしすぎる性格だからだと思っていた。 でも脳は何もしていない時ほど、過去を振り返ったり未来を想像したりするらしい。 問題を見つけて、答えを探そうとする。 それは人間が生き残るために発達してきた機能でもあるという。 もちろん、それを知ったから急に考えなくなるわけではない。 今でも夜になると不安になる日がある。 返事が来ないと気になることもある。 伝わらなかった悲しさを思い出すこともある。 それでも以前より少しだけ、自分を責めなくなった。 また考えすぎている。 そう思う代わりに、 「今、脳が答えを探しているんだな」 と思うようになった。 楽しかった思い出が消えたわけではない。 嬉しかった出来事がなくなったわけでもない。 ただ脳は、まだ答えの出ていないことを優先して考えてしまう。 もし今、同じように考えすぎて苦しくなっている人がいるなら。 それはあなたが弱いからではなく、人間の脳が本来持っている働きなのかもしれない。 少なくとも私は、そのことを知って少しだけ自分に優しくなれた気がしている。

小さな「変化」を観察してみる

研究結果がすべてではありませんが、自分に合うものを探すための「材料」にはなってくれます。 「自分ならどう活用できるだろう?」と、小さな実験を楽しむような気持ちで、自分なりのケアを模索してみませんか。

答えを出さずに、いまの気分を置いておく

何も試す気力が起きない日も、もちろんあります。 そんなときは、今の「何もできない自分」を責めることなく、ただその状態を抱きしめてあげてください。

きれいにまとまっていなくても構いません。「答えを出す」ためではなく、ただ「いまの気分を置いておく」ための場所として、まめここのノートを使ってみてください。

スポンサーリンク